ソーシャルメディアはクラッシュするのか?自社の墜落を回避するには?
貴社はソーシャルメディアに投資していますか?答えがイエスであれば、気を付けて下さい。
ソーシャルメディアがクラッシュするという話があちこちで囁かれています。あり得る話でしょうか?答えはイエスです。私達はMRの削減やマーケティング予算の縮小が繰り返されるのを経験してきましたが、ソーシャルメディアについても同様の投資引き揚げが始まることになりそうです。なぜでしょう?理由は同じです!効果が無いからとか消費がストップするからという訳ではありません。ソーシャルメディアは、ブランド及び企業の利益にどれだけの財務インパクトを与えているかという視点で効果的に測定されていないからです。貴社は測定していますか?ソーシャルメディアが自社の利益成長にどれだけ貢献しているか把握していますか?しているなら、この先は読まなくて結構です。貴社は大丈夫です。把握していないな� �、朗報があります。測定することは可能なのです。
ソーシャルメディアを利用する目的
さて、測定についてお話しする前に、目的を考えてみましょう。私はいつも目的をまず念頭において物事を始めます。通常私は最終的な測定基準として市場シェアや売上、利益といった財務的なものを用いますが、重要な目的がそこにない場合は、それ以外の測定基準を使うこともあり得ます。ソーシャルメディアを利用する時の企業の目的にはどんなものがあるでしょうか?私達の分析では、5つの主な利用目的があるようです-以下は順不同です:
1. 調査
多くの企業は顧客調査を行って顧客を理解し、顧客と話し合う為にソーシャルメディアを利用します。スターバックスはwww.mystarbucksidea.comという顧客の声を聞くためのウェブサイトを持っています。「あなたがスターバックスに何を求めるかを一番良く知っているのはあなたです。ぜひ教えて下さい。あなたのスターバックスへの提案は何ですか?大変革でもシンプルなアイデアでも結構です-お聞かせ下さい。あなたのアイデアを共有して下さい、他の人のアイデアをどう思うか教えて下さい、みんなで話し合いましょう。私達はまさにここで、アイデアを現実のものにしたいと思っています。今から始めましょう」という訳です。
2. ブランディング
ソーシャルメディアはよくブランディングのために使われます。よくあるのは、企業がYouTubeで自社ブランドとの関連で何か面白いこと、斬新なことをして話題性を作り、大きな口コミマーケティング効果を狙うというやり方があります。私は初めてバイアグラが発売された時に流れたビデオを覚えています。動画では一人の男性がタオルを腰に巻いてロッカールームで腕立て伏せをしています。最初は両手ですが、じきに片手になり、次には両手を背中に置いたまま腕立て伏せをしているのです。ファイザーのアイデアだったかどうかは分かりませんが、これは大きな話題を呼び、動画がインターネット上をものすごい勢いで広がったことは確かです。 しかしこのようなウィルス的に広がる特定ブランドのマーケティングビデオは、ソーシャルメディアを利用したブランディングとして広く使われている方法です。この種のブランディングに関してニールセンが行った調査によると、あるYouTubeのブランディングキャンペーンは6カ月で売り上げを27%伸ばす効果があったということです。
3. 新規顧客の開拓
ユーザーがオンラインで自社のサービスや製品に関する情報を見つける手助けをするのも、ソーシャルメディアの主要な利用目的です。自社の製品やサービスに興味を持ってもらうため、報告書をダウンロードしたりポッドキャストを聞いたりビデオを見たりできるサイトにユーザーを案内します。
私は私の鼻を壊し、何をすべき場合に、どのように知っている
4. eコマース
貴社がネット販売をしているなら(通常製薬会社はネット販売をしませんが、リストを完全なものにするためにこの項目も加えておきます)、買ってもらうためには販売サイトに来てもらわなくてはなりません。どうすれば良いのでしょう?デルがお手本を示しています。彼らはツイッターで特別のプロモーションについてつぶやき、そこに貼っておいたリンクのクリックトラッキングを使って潜在顧客のオンライン行動をトラッキングするのです。彼らはこのツイッターという一つのチャンネルだけで何百万ドルもの売り上げを生み出しました。
5. 顧客維持
私たちは、医師の獲得に巨額のマーケティング予算を割いているにも関わらず、実は医師の維持に予算をかけるほうが賢明であることは皆知っています。新規クライアントの獲得は既存のクライアントの維持に比べて、通常3~5倍の費用がかかることがわかっています。多くの企業は顧客維持のためにツイッター、フェイスブックその他のソーシャルメディアのしくみを利用しています。サウスウエスト航空もコムキャスト(米国ケーブルテレビ大手)もそうしています。貴社はいかがですか? ツイッターは事実、多くの医師に利用されています。実際私がツイッターをリアルで効果のあるメディアとして見直すきっかけになったのは、2006年に行われたある腫瘍の手術に際して外科医達がこれを画期的な新しい手術として"つぶやいた� ��ことでした。この外科医達によるリアルタイムの"つぶやき"を何十万という医師が手術の時にリアルタイムでチェックし、その後も数え切れない医師達がチェックしました。現在では、幅広い医学界の関心を集める可能性のある手術が行われる時には、外科医達がつぶやくのはごく当たり前のことになりました。("Surgeons send 'tweets' from operating room" と"Doctors use Twitter to update during surgery"をご参照下さい。)
ソーシャルメディアの測定
ソーシャルメディアを測定する方法は沢山あります。ネット販売をしているなら、上記の例でデルがやったように"つぶやい"てリンクを使えば良いのです。"つぶやき"から直接生まれた売上げの測定は簡単ですが、その場合、他のいくつのチャンネルが購買決定に影響を与えたかを知ることはできません。しかし基本的に測定には3つの種類があります:
- 定性的測定: これは認知度の向上などを見るもので、直接数字や行動にはあまり結びつかない、より感情に基づいた側面を測定するものです。例えば何かに関する肯定的なコメントなど。
- 定量的測定: 何人がこのキャンペーンを見たか、何人がこれをダウンロードしたか、どの位の時間これを見たか、何回見たか、何回他の人に転送したか、何回"リツイート"したか、何人がリンクをクリックして実際そこから購入したか、といった数字に基づいた測定です。
- 財務的な測定基準: これは常に私のお気に入りです。結局のところ製薬会社はビジネスをしている訳ですから、お金を稼がなくてはなりません。マーケティング活動の多くはその最終目標をサポートするためにあるわけで、そこを測定する必要があります。財務的な測定基準とは、何にどれだけ使ってどれだけそこから財務的メリットを獲得したかを市場シェア、売上、または利益の形で見ることです。これはシンプルなROIで考えることもできますし、私達の94.8のアプローチにならって、その活動(ツイッター、フェイスブック、YouTubeその他)がどれだけの市場シェアを支えているかを見て、それがどれくらいの利益増につながるかを計算したり、その特定のソーシャルメディアに対する注力を増減することで市場シェアがどの程度増減するかを予測するこ� �も簡単にできます。
それでは、それらの要素を全てまとめて実際の結果を出すにはどうしたら良いのでしょう?
後ろにに接続されたリブは何の椎骨です。
ソーシャルメディアツールをうまく組み合わせてビジネスその他の目的に役立てている企業や組織は、フュージョン(融合)という形でものを考えます。ブランドをうまく構築する、興味をかきたてて新規顧客を獲得する、または新しい大きな目標を達成するといったことをするには、新しいツールを従来のマーケティング環境と組み合わせ、オンラインの様々な要素を融合させて相乗効果を生み出すことが必要です。
この方向性で取り組むマーケティング担当者は、最終的にブランド認知、見込み客、口コミ、売上等を急激に伸ばすことができます。これは一つのソーシャルメディアやツールだけで達成することはできません。
秘訣は個々の要素を最大限に活用する方法を理解し、それらがどのように相互に作用するかを見極めることです。ツイッターはどうしたら最大の効果を上げるのか、そしてその強みをどうeメールマーケティングと組み合わせるべきか?ブログをフェイスブックと効果的に統合するにはどうしたら良いか?それぞれに異なる要素を全て融合させて協力なムーブメントにするにはどうすれば良いのか?大事なのは自分が何を達成しようとしているか、顧客は何を求めているかを絶えず考えつつ、常に結果を測定してそれに基づいて手法を修正していくことです。
具体的な進め方をご紹介するため、まず医療機器業界の素晴らしい例を検証しましょう: AMO社のイントラレースです。
事例:レーシックがソーシャルメディアを活用
ヘルスケア業界の事例として、ブランド構築のためにオンラインコミュニティとソーシャルメディアツールを利用してeマーケティングキャンペーンを行ったAMO社イントラレースのブランド、レーシックの例を取り上げます。
AMO社のイントラレースブランドであるレーシックは、手術で視力矯正し、メガネやコンタクトレンズを不要にします。患者に大きなメリットと費用削減効果をもたらす独自のブランドとして、レーシック市場は数年間大きな成長を遂げてきました。
しかし2006年のレーシック市場は横ばいでした。プライスウォーターハウスクーパースは、消費者の医療業界に対する信頼が揺らいでいるという調査結果を出したばかりでした。人々が大騒ぎでレーシックを求めた時代は終わり、多くの人がそのブランドを忘れ去っていました。AMO社には変革が必要でした。彼らは目標をレーシックの手術数増加に定め、次に重要な問題を自問しました:
- 適切なターゲットグループはどの人々か?
- どうやって彼らに効果的なアプローチをするのか?
- 自分たちにとっての成功とは?
調査段階では当初、機会を特定することに集中しました:30歳から50歳のグループでは、回答者の63%が視力矯正手術を受ける可能性があると答えました(ジェネレーションX)。しかしもっと若い年代、18歳から34歳、では60%が将来必ず手術を受けると答えました(ジェネレーションY)。このジェネレーションYにおける潜在顧客の驚くべき多さを受けて、調査はこのターゲットグループをより良く知るためのものに軌道修正されました。1980年から2001年の間に生まれたジェネレーションYは7600万人おり、ベビーブーマー世代に近い人口です。ミレニアル世代(ジェネレーションYの別名)は彼らの年齢ですでにジェネレーションXやベビーブーマーよりもお金を持っています。彼らはレーシックの潜在顧客の約50%を占めていました。彼らは資 金、両親への信頼感(両親の多くはレーシックあるいは何らかの美容整形を受けている)、高い教育レベルという点で最高の顧客候補です。
しかしジェネレーションYは理想的な顧客でありレーシックに強い関心を示していたにも関わらず、手術を受けることを選択していませんでした。レーシックに対する信頼を持ち、手術の費用を払うのは彼ら自身ではないにも関わらず、"つながりの無さ"が最後の一歩を躊躇させていたのです。
あなたのポーチを失うする方法
戦略
ジェネレーションYに関する更なる調査で、彼らの行動パターンについて幾つかの重要な事実が明らかになりました。彼らはテレビを見るよりも長い時間をネット上で過ごし、ジェネレーションXに比べてソーシャルネットワーキングを使う可能性が3倍高く、ブログをチェックする可能性が2倍高く、インスタントメッセージを送る可能性が50%高いことがわかりました。
Reynol JuncoとJeanna Mastrodicasa は著書の中で、アメリカの大学生7,705人を対象とした調査の結果を以下のように述べています(2007):
- 97%がコンピューターを持っている
- 94%が携帯電話を持っている
- 76%がインスタントメッセージを利用している
- IMユーザーの15%が一週間に7日一日24時間ログオンしている
- 34%が主にネットでニュースを読んでいる
- 28%がブログを書き、44%がブログを読んでいる
- 49%がP2Pファイル共有ソフトを使って音楽をダウンロードしている
- 大学生の75%がフェイスブックのアカウントを持っている
- 60%がiPodなど何らかの携帯音楽とビデオ機器、あるいはそのどちらかを持っている
この世代はインターネットや携帯電話のない世界を知りません。デビットカードやクレジットカードがお気に入りで小切手帳を持ったことはありません。銀行との取引その他の主な管理作業はオンラインで行います。彼らは"デジタルネイティブ"(生まれながらのデジタル世代)なのです。
それではどうやってこの高度なインターネット人種にアプローチすれば良いのでしょう? 新しいキャンペーンは"体験"マーケティングの戦術を使い、ウェブ2.0の活動にフォーカスする必要があります。PRのリーチとサイトの注目度を確保するために、スポークスパーソンによる証言を使ったキャンペーンが必要です。ジェネレーションYの人々に自分自身のストーリーを語らせ、消費者をキャンペーンに巻き込んだシンジケーション・マーケティングテクニックを使う必要があります。
リアリティー・レーシックの誕生です。
計画
リアリティー・レーシックキャンペーンは、リアリティスターのKristin Cavallariがレーシックの手術を受け、その体験を記録する姿を追うことが中心となります。Cavallariは、お騒がせセレブで、魅力があり、人気も高く(Cavallariはこの年EOnlineで人物検索のトップ10入りした)、あらゆるブログで噂されたりと、ネット上での話題性を考慮して選ばれました。
このキャンペーンはKristin Cavallariのセレブとしてのステータスおよび彼女のジェネレーションYへのアピール性を利用しました。主旨は以下の通りです:
- ジェネレーションYを双方向キャンペーンに巻き込む
- レーシックと手術のメリットについてジェネレーションYを教育する
- ジェネレーションYがレーシックに対する恐怖(又は理解の欠如)を克服して手術を受けられるよう導く
この計画は以下を実現することでジェネレーションYによるトライアルに合格しました:
- 透明性:ブランドを隠したメッセージングにより、ジェネレーションYが広告に対して持つ疑い深さを払しょくした。
- 真実性: リアルな視点を与えるため、Cavallariは実際に手術を受け、そのすべてをフィルムに収めた。
- コミュニティ: 人々は自分のソーシャルネットワーク内でこれらのウェビソード(ネット上の短いドラマ)に参加し、自然で活発な会話ができた。
- パーソナル化: 人々が自分の体験を披露する機会を作った。
- 自由度/柔軟性: ターゲットグループが都合の良い時に好きなフォーマットでコンテンツを見られるようにした。
- 快適さ:人々はCavallariの恐怖心や安心感をリアルタイムで体験できた。
- 人間関係: Cavallariの家族や友人も参加した。
ターゲットグループをレーシックキャンペーンに引きつけるため、AMO社イントラレースはIgnite Healthの支援で以下を準備しました:
- Kristinの生活について知り、彼女のブログを読み、ビジターが医師を見つけて自分のストーリーについて話すことができるホームページ。
- フェイスブック上のバナー広告とスポンサーコンテンツ。
- 医師のウェブサイトに設置されたバッジ。
- 既存のオンラインビデオサイトの力を利用して綿密にシンジケーションされたウェビソード。これらのウェビソードはYouTube、iTunes、AOL Video、MetaCafe、Yahoo Video、Google Video、Daily Motionその他のサイトにつながっています。始めにまとめて5つのエピソード、その後の4話は一週間に一度配信されます。
ローカル市場では、AMO Laser Vision Correction(レーザー視力矯正)の顧客(医師)に対し、テーブルに置く販促資材、コンテストの開催を知らせる切り取りページ、患者教育のための折り込み広告、ビデオコンテンツの再配信、バナー広告、ラジオスポット、リアリティー・レーシックのための独自URLを提供しました。
結果
キャンペーンの成功を測定するため、以下のKPI(主要業績評価指標)が選択されました:
- サイトトラフィック
- 訪問者数
- 訪問時行動(時間、1訪問あたりのページ数)
- エピソード閲覧
- 登録
- 医師検索
- コンテスト投稿
- オンラインバズ
- ユーザー作成コンテンツ(リンク)
- ビデオシンジケーション
- 医師による採用/実行
- 製品の市場シェア拡大
- 売上/収益の伸び
これら指標の前半項目に関して、2007年5月~2008年4月のキャンペーンへの反応は驚異的なものでした:
- 訪問者数: 127,000人超
- サイト上での動画閲覧者数: 180,000人以上
- 1訪問あたりの平均動画閲覧回数は2回以上
- シンジケートされた動画閲覧回数: 140,000以上
- 医師検索回数: 13,900以上
- 1訪問者あたりの平均サイト訪問時間: 7.2分
- 登録者数(強い関心を持つ人々):
- リアリティーレーシック上で1,490人以上
- フェイスブック上で2,000人以上
- PR掲載数: 50件以上
- PRインプレッション数(1広告が1回表示されるのが1インプレッション): 4千万以上
- ブログリンク数: 60以上
- コンテスト投稿作品数: 100以上
これらの数字に加え、AMO社イントラレースの実際のビジネス上の数字も増加しました:
- 2007年5、6、7月のレーザー手術件数は2006年同時期に比べて11.48%増加。
- 2007年第二4半期のレーザー視力矯正市場は2006年第二4半期と比べて3%拡大。
- 2007年第二4半期の市場シェアは2007年第一4半期と比べて1.2%拡大。
分析
AMO社イントラレースは自分達の通常のマーケティング手法の枠から抜け出したキャンペーンを行い、成功を収めました。それによって彼らは、より効果的に自社の真のターゲットグループに訴求する方法を見つけたのです。当初行った努力は、最終的に大きく報われました。 全体を見据えた立案プロセスの中で、彼らはいくつかの厳しい問題に直面しなくてはなりませんでした:
- 個々の構成要素はどのように他の要素に良い影響を及ぼすのか?
- メディアと資産の間に存在する勢いをいかに利用できるか?
- どのKPIを使うべきか?ゴールに向けてどのベンチマークを採用するべきか?
- キャンペーン中に測定を行い現状を把握できるシステムをどのように構築すれば良いのか?
- 経験の無い領域に足を踏み入れる中で、どうずれば先を見越して行動できるか?
AMO社イントラレースは、適切な原則を用いて成功に照準を合わせ、キャンペーンが包括的であるよう努めました。
このように完結し、成功を収めたキャンペーンの例を知ることで、マーケティング担当者はヘルスケア業界でもソーシャルメディアで成功することは可能なのだと勇気づけられることと思います。しかしそれには注意深いプランニングと、成果を検証するための測定基準への強い関連付けが必要です。
詳細についてはユーラリスのホームページ
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